最近は頭を使うゲームとして、介護予防を目的として、介護サービスの場などでも行われているという麻雀。でも正直なところどうしてもダークな“ギャンブル”といったイメージがあった。
しかし、女性限定の教室を毎日開催する銀座ヤナギカルチャースクール東大島支店「東大島女性マージャン教室」(東京都江東区)を取材して、その偏見は一掃された。
東大島女性マージャン教室はスーパー・ダイエー東大島店の3階にある。10時のオープンと同時に60~70代の婦人たちが次々入室し、11ある雀卓があっという間に埋まった。
まったくの初心者には初めにレクチャーがあるものの、同じレベルの人同士で組み分けされて即実戦。レッスンプロの先生が各卓を回り、ゲームの中で徐々にルールやテクニックを教わっていく。
ゲーム開始前に声をかけた婦人(77才)は昨年1月に参加。それが生まれて初めての麻雀だったという。
「85才のお友達が別のところで麻雀をやっていて、それが“おもしろくておもしろくて”と、もう夢中なんです。お年は私より上なのに、とてもイキイキしてお元気なので、麻雀に興味が湧きました。やってみたらホント! もうおもしろくておもしろくて」
その婦人も、とても77才とは思えない意欲的で充実した表情。お肌もつややか! 女性ばかりとあって四十数人が集まるとそれは賑やか。高らかな笑い声とともに体調、食べ物、旅行などの話に花が咲いていたのだが、ゲームが始まった瞬間、その場の空気が一転した。
息をも殺すような沈黙。ものすごく張り詰めた空気に変わったのだ。
「麻雀は集中力を要します」と解説してくれたのは、ヤナギカルチャースクールを主宰する柳田誓也さん。
「麻雀は13の手牌(自分の手元に持つ牌)を持ち、中央に積んだ牌から順に1個取り1個捨てる…を繰り返しながら、役(あがれる牌の組み合わせパターン)を揃えていきます。どんな絵柄の牌を取るかはまったくの運ですが、なにを捨てるかはテクニック。人が捨てた牌を取ることもできるので、自分に不要な牌がほかの人を勝たせてしまうこともあり、またその逆も。集中!の勝負なんです」
なるほど。状況に目を配り、人の手牌を読み、そして自分が取る牌が超幸運をもたらすかもしれないという期待…もう頭の中は大忙しだろう。婦人たちが“おもしろくて”と身もだえるのは、このワクワクドキドキだったのだ。
「囲碁や将棋は、上級者にはまず勝てないけれど、麻雀はツキの流れで初心者が勝つこともあります。ほかの3人が失敗したり、上級者が考えすぎて自滅したり、いろいろなドラマがあるのです。たまたまよい牌を取るのは運。でもさらにその幸運を使い、勝利を勝ち取るのが麻雀の醍醐味です」
細かいルールまで到達しない初心者でもこの醍醐味はすぐに味わえるので、ほとんどの参加者がハマるという。
「運が流れを支配するあたり、男性より感覚的な女性向きのゲームともいえます。参加者のみなさんは白熱したゲームの後、とても疲れるとおっしゃいます。そして普段食べないお肉が食べたくなると(笑い)。脳を使われている証拠です」
※女性セブン2018年1月18・25日号