皆が土俵を見ているようで、実際は誰も見ていない──そんな異常事態のなかで今年の初場所は初日を迎えた。
「すべてが貴乃花親方と八角理事長ら執行部の対立に結びついているようにしか見えなくなってしまった。貴乃花部屋の3力士が年末にラフな格好で出歩いていたことが協会から口頭注意となりましたが、なぜわざわざ注意する場を年明けの横審(横綱審議委員会)の稽古総見でカメラが揃った場にしたのか。
3人を呼びつけたのは、貴乃花部屋で繰り返し門前払いを食ってきた鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)や春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)。これは“見せしめ”に違いない」(協会関係者)
場所前に突如、発覚した立行司・式守伊之助のセクハラ問題も同様だ。協会が異例の緊急会見を開いたのは5日の深夜11時。なぜ、急き立てられるように公表したのか。
「昨年12月の沖縄巡業中に起き、被害者は入門したばかりの10代の若手行司。この一件を聞きつけて行司会監督に報告したのが、貴乃花一門の部屋の行司だったというのです。式守伊之助が、貴乃花親方に反発する横綱・白鵬のいる宮城野部屋の所属だったこともあり、執行部は“隠蔽しようとした”と貴乃花側から追及されることを恐れて焦ったのではないか」(担当記者)
土俵上では横審から苦言を呈された白鵬の「張り手」「カチ上げ」に注目が集まるが、それにしても「執行部の組織締め付けの意図が透けて見える」(同前)というのだ。
※週刊ポスト2018年1月26日号