平成28年度に全国の自治体で引き取られた犬の数は、4万1175頭、猫の数は7万2624頭にのぼった(環境省発表の「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」より)。
そのうち新たな飼い主に譲渡された犬・猫の割合は38.8%。譲渡率は年々増加しており、その数は3年で約2倍に伸びている。
「ペットと出会う場はペットショップだけと思われがちですが、各地で譲渡会が開かれるなど、ここ数年で譲渡・里親制度が広く認知されるようになりました。ペットを迎える選択肢として譲渡を利用する人も、譲渡を行う団体も年々増えています」
とは、NPO法人「犬と猫のためのライフボート」理事長・稲葉友治さんだ。実際、10年前は頻繁に譲渡会を開催する必要があったが、今は地元の譲渡希望者も増え、稲葉さんの施設だけで年間1000頭以上の犬・猫が新たな家族の元へ引き取られているという。
◆譲渡会にはさまざまな参加条件も
稲葉さんの団体のように、施設での面会を通じて譲渡する方法もあれば、複数の犬・猫を集めて、新しい飼い主を探す“譲渡会”もある。譲渡会とは言わば“合同お見合い会”のようなもの。保健所や動物愛護センターといった行政機関、民間の動物保護団体が定期的に行っている。
会場に集められるのは、捨てられたり、飼育放棄などで保健所に引き取られた保護犬・保護猫だ。
「譲渡会への参加は無料。ただし自治体によっては、居住地域が限られていたり、事前に講習会への参加が必要なことも。民間団体も独自の条件を設けているので、希望と一致するか確認を」(稲葉さん)
また、ネットを介して個人間でやり取りするケースも。こういう場合は、トラブルを防ぐため、やり取りを書面で残すなどの注意が必要だ。
◆譲渡会に参加する企業も!
一方、通信販売会社フェリシモは、地元のNPO法人「神戸猫ネット」と共同で譲渡会を開催している。
「保護猫の譲渡会を開催できる場所を探しているという話を聞き、それなら土・日曜は空いている会社のスペースを使ってくださいと提案したのがきっかけです。2012年9月から2か月に1度のペースで開催し、これまで30回実施しました」
と、フェリシモ猫部部長・松本竜平さんは言う。企業が譲渡会に参加するのは珍しい例だが、企業側にもこんなメリットがある。
「商品開発や販売だけでなく、猫の幸せを願った活動を通じて、お客さまから評価をいただけるのもありがたいです。また会場で猫好きのかたと直接お話ができ、そこから新たな商品のヒントにつながることもあります」(松本さん)
昨年11月に行ったフェリシモの譲渡会には、60匹の猫が参加。11匹の猫たちが、新しい家族の一員として迎えられることに。2018年1月14日にも開催された。
※女性セブン2018年1月18・25日号