「天皇陛下の退位に関わる話で宮内庁として看過できない」──宮内庁の西村泰彦・次長がこのように述べたのは、1月9日の定例記者会見でのこと。月刊誌『テーミス』1月号に掲載された記事を事実無根として、抗議し記事撤回を求めたと発表したのである。
問題となったのは、「皇室会議 常陸宮さま『たった一人の反乱』」と題した記事だった。
内容は、天皇の退位日について議論するため昨年12月1日に開かれた皇室会議の中で、議員の一人として参加していた常陸宮が「4月30日退位案」に疑問を呈し、「陛下は憲法を改正して制度的に辞められるようにしてほしいと思っておられる」「陛下と宮内庁とどちらが偉いのですか」などと発言したというものだ。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司氏が言う。
「この会議の議事録は公表されなかったため、誰がどのような発言をしたのかは会議の場にいた人以外は知り得ません。常陸宮殿下は控えめで思慮深いお方という印象がありますので、会議の場でのそういうご発言は考えにくいですね」
常陸宮の発言の真偽は確かめようがないが、気になるのは宮内庁の対応である。メディアの皇室関連報道に対して宮内庁が否定や抗議の発表をすることはままあるが、相手は主要週刊誌やテレビ番組ばかり(宮内庁HPより)。
それに対して今回の『テーミス』は公称発行部数2万部の会員制定期購読雑誌だ。会員限定の“マニアック”な雑誌記事にまで、宮内庁が記事撤回を求めるというのは異例だ。