日本人はいつまでも米国が守ってくれると思い込んでいるのではないか。しかし、現実を直視する必要がある。米中は急激に接近し、両国の新型大国関係は事実上始まっている。京都大学名誉教授の中西輝政氏が警鐘を鳴らす。
* * *
〈2049年の建国百年までに社会主義の現代化強国を築く。中華民族はさらに活力を増し、世界の諸民族の中でそびえ立つだろう〉
昨年10月、中国共産党第十九回党大会の初日、習近平総書記は3時間半に及ぶ大演説でこう宣言した。
この党大会で習近平は独裁体制を完全に確立し、今後は中国が世界一流の軍事、経済、政治大国になり、米国に代わる超大国として世界秩序を変えていくとの野望を見せつけた。
中国が長期的な戦略で「百年マラソン」をひた走る一方、世界唯一の超大国アメリカの繁栄には翳りが見える。その事実を認めたくない米国民は、「米国を再び偉大な国に」とのスローガンを掲げたトランプを大統領に押し上げたが、時代の趨勢は長期的に見て明らかだ。
特にトランプ政権発足後は国の内外で摩擦が相次ぎ、「パクスアメリカーナ(米国の覇権による平和)」の終わりが近づいたことを感じさせる。