北朝鮮の核ミサイル完成を目前に、敵地攻撃能力の保有を今頃議論している日本はやはり平和ボケに過ぎるのだろう。『戦争にチャンスを与えよ』の著者、エドワード・ルトワック氏が指摘する。
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北朝鮮が長距離ミサイルに核弾頭を装備する能力を確立する時期がいよいよ近づいてきた。短くて数か月、長くて一年だろう。このままだと米国あるいは他の諸国が北朝鮮の核武装を止める「機会の窓」はもうすぐ閉ざされる。
経済制裁でも軍事手段でも北に核放棄はさせられなくなる。なぜなら北は制裁には屈せず、軍事攻撃に対しては米国本土をも含む標的への報復の核攻撃をすることが確実となるからだ。
この「機会の窓」が閉ざされないうちに先制予防攻撃で北朝鮮の核兵器や、その施設を破壊することが残された唯一の実効ある方法である。
世界の他の地域で核武装を阻止したケースでは、いずれも武力を用いて断念させることに成功しているからだ。イラクとシリアがその実例だ。イラクの場合、1000kmも離れたイスラエルが爆撃でフセイン政権の核開発施設を破壊した。シリアも同様だった。その後の中東紛争において、無責任国家が核兵器を持っていなかったことがどれだけ世界から歓迎されたことか。
だが、北朝鮮の核武装への動きに対し米国や韓国の歴代政権は武力を使って阻止する機会がありながらも、長年、それを逸してきた。つまりは失敗だった。経済制裁がその目的を達しないことは実は始めからわかっていたといえよう。北朝鮮の核開発をここまで許したことは関係諸国の無責任の結果なのだ。