非モテ・非リア充であることは、一般的には敬遠される属性だが、芸人の面白さとしてはプラスに働く。そのジャンルで頂点に立ってきた南海キャンディーズの山里亮太とオードリーの若林正恭は、それぞれ恋愛をテーマとしたリアリティ番組『TERRACE HOUSE(テラスハウス)』、『あいのり』のスタジオキャストをつとめている。非モテ・非リア充らしさを発揮してきた二人にも変化の季節がやってきた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、孤高の戦いを続ける山里亮太の生き様についてつづる。
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Netflixに入会して数ヶ月、今頃『テラスハウス』にハマっている。
Netflix版の『テラスハウス』は、2015年に放送がスタート。東京編、ハワイ編と続き、現在は軽井沢編が配信中である。
当初「素人の共同生活の何が面白いんだ?」と思っていた。見てわかったが、確かにそこだけでは番組は成り立たない。
『テラスハウス』のキーは、共同生活で起こる事象に、スタジオにいる芸能人が茶々を入れる点にある。
YOU、トリンドル玲奈、徳井義実、馬場園梓、山里亮太といった面々が、素人の行動を様々な角度から検証していく。
YOU、トリンドル玲奈、徳井義実、馬場園梓はナンダカンダ優しく見守る。
唯一、舌端火を吐くのが山里亮太だ。
美男美女が多く、人生イキってきた連中が集まる『テラスハウス』の面々。そこの怠慢具合をガツガツと掘り下げていく。
ゆえに『テラスハウス』メンバーに、全く共感しない僕ようなタイプも視聴できた。山里なしの『テラスハウス』、面白さは半減するだろう。
山里人気に応えてか、YouTubeにある「Netflix公式チャンネル」では『山チャンネル』なる番組も配信中。
スタジオに1人残った山里が『テラスハウス』各回を総括。正座をし、落語を模したスタイルで、本編で収まりきらなかったパッションを爆発させる。
芸とは理解しているが、『山チャンネル』での行き過ぎた毒舌。時折、食傷気味なるのも本音だ。
あるメンバーの見た目を「才能を全てなくした又吉」といった表現。
「芸人は一般人よりも偉い」そんな山里の本音も垣間見える。
そういえば『ゴッドタン』でも山里は「(イケすかない女性に対して)お前の存在価値は友近のネタになることだけだ」と言っていたっけ。
再度書くが、芸だとは重々承知しているつもり。しかし、あまりにも芸人賛美な切り口に違和感を覚えた。
山里の毒舌芸の根源は、自身の不遇さから発する。『アメトーーク!』以降、芸人は自らをラベリングし、自己PRを始めた。
山里の場合は「ブサイク」「モテない」「女性から舐められる」といったレッテルを自らに貼った。
元来そういった気質はあっただろうが、不遇芸を確立して以降、より自らの扱いをぞんざいしていったと思う。