近年、浅野ゆう子のような「熟年婚」が増えている。
厚生労働省の人口動態調査(2016年)によると、50代の初婚件数は男性が4247件、女性が1595件。1990年に比べると、50代女性は1.7倍となっている。
昨年、阿川佐和子さん(64才)は6才年上の元大学教授S氏との結婚を発表した。
阿川さんは自らの手記にこう綴っている。
《介護関係の用事をS氏に頼んだとき、先方から「この人誰?」と怪しい目で見られます。(中略)もし自分が先に亡くなったときに、「阿川佐和子、内縁の夫に看取られる」という記事が出ると思うと、なんだか親不孝な気がして》
熟年婚を選ぶ理由の1つとして、法律や行政上のメリットがある。
「相手が病気に倒れたり手術で親族の同意が必要な時など、事実婚では介入が難しい場合もある。保険や税金の面でも入籍していないと手続きが面倒なことも多いです。
何より別々に暮らすより、一緒に暮らすほうが生活コストは下がります。『配偶者』として行政上の正当なサービスを享受することも考えると、結婚は・コスパ”がいいともいえます」(行政上の手続きに詳しい弁護士)
浅野の場合はどうだっただろう。
「浅野さんは、同棲生活を送っていた田宮二郎さんの息子で俳優の田宮五郎さんが倒れた時は未婚だったので、病院での看護や治療方針の決定、面会などにも“壁”があったはずです。
配偶者になればこれらのことに家族として立ち入ることができます。もちろん、お墓にも一緒に入れる。彼を亡くした経験から、“早めに籍を”と思ったのかもしれません」(前出・弁護士)
一方、漫画家の西原理恵子さん(53才)と高須クリニック院長の高須克弥さん(72才)は10年近い関係があるが、籍を入れず、週1回のデートを続ける恋人関係にある。
「西原さんは2007年に、高須さんは2010年にそれぞれ配偶者を亡くしています。西原さんには2人、高須さんには3人の子供がいて、結婚するとなると財産分与や相続関係が複雑。
ふたりとも充分な経済的余裕がありますし、恋人であることは家族公認で公にもしているので、結婚の必要を感じないのでしょう」(前出・弁護士)
桃井かおり(66才)は2015年、幼なじみと結婚した理由を、雑誌のインタビューでこう語っていた。
《付き合うようになって『一緒に住んでます』って、彼のお母様に報告に行ったら、『結婚するの?』とか『お墓に入ってくれの?』とか聞かれてね。最期に、『夫婦ってね、老後がいいのよ』って言われたんです。その一言が、心に染みて》
人生60年も生きれば、ひとりでいることへの悲しみや寂しさを充分に知っている。「人生の最期を誰かと一緒に過ごしたい」という打算のない愛に気づくということもあるのだろう。 57才初婚の浅野しかり、熟年婚には年を重ねたからこその理由がある。
※女性セブン2018年2月1日号