日本の総人口は約1億2680万人(2017年7月現在)。若い頃から名字に興味を持って、公務員在職中にさまざまな名字に触れたことをきっかけに、名字研究を45年以上続けている高信幸男さんによると、名字の総数は約13万種。そのうち、同姓の人が100人くらいしかいない“珍名”は約1万種だという。そうした名前は時に郵便や宅配の配達員などを悩ませるというが、今回は数字にまつわる珍名を挙げてみた。さて、あなたは正しく読めますか?
五百蔵 【いおろい】
先祖が500ほどの鎧を蔵で管理していたことが由来といわれている。兵庫県で散見される名字だが、神戸市に同名地域があることから地名を名字にしたとも推察される。ほかに「いおくら」「ごひゃくくら」などと読む人も。
十七夜月 【かのう】
満月は十五夜だが、昔の人は満月の2日後の月に向かってお祈りをすると、願いが叶うと考えていたそう。そこから、十七日目の夜の月に託した想いがこの読み方になったという、なんともロマンチックな名字だ。
四十八願 【よいなら】
昔、栃木県のある地域で疫病が流行った時、死者の霊を鎮め、病人がこれ以上発生しないよう、村人が四十八の願掛けを行ったことに由来している。死後に行くとされる“黄泉が原”の読み方が変化した、という説も。
一尺八寸 【かまつか】
その昔、民が鎌を武器として使用しないように、殿様が鎌の柄(つか)の長さを一尺八寸(約55cm)以内にするように定めたことから、この読み方になったといわれている。静岡県富士宮市に数軒ある名字。
七種 【さいぐさ】
「七種」は、正月の七草粥を指すと思われる。七草粥は1月7日に無病息災(幸い)を願って食べられるものであることから、この読みになったと思われる。そういえば「千種」なども種と書いてこう読む。長崎県に多い。
四月一日 【わたぬき】
旧暦の4月1日(現在の5月中旬)頃になると、衣替えで冬物の着物から綿を抜いて夏用に仕立てていたことに由来している。ちなみに、同じ読み方をする「四月朔日」さんは、全国に60軒ほど存在しているらしい。
三九二 【みくに】
江戸時代、越後、信濃、上野の三国の国境を通る三国街道は、江戸と越後を結ぶ重要な街道だった。その近くに住む人が「三国」と名乗ったが、その後、一部の人が書きやすく読みやすい「三九二」に変えたとされる。
一月 【むつき】
陰暦では、1月を睦月(むつき)、2月は如月(きさらぎ)、3月は弥生(やよい)、4月卯月(うづき)、5月皐月(さつき)、6月水無月(みなづき)、7月文月(ふみづき)、8月葉月(はづき)、9月長月(ながづき)、10月神無月(かんなづき)、11月霜月(しもつき)、12月は師走(しわす)と呼んでいた。その名残。
八月一日 【ほづみ】
旧暦の8月1日(現在の9月中旬)頃になると稲の収穫を行うが、稲穂を摘む時期を表してこの読み方になったそう。群馬県には約10軒あるそうだが、同じ読み方の「八月朔日」さんは、茨城県に多い名字だという。
※女性セブン2018年2月8日号