ひと昔前であれば、「憲法改正」と聞けば、野党の護憲派は「軍国主義への道」と大騒ぎした。それがいまや野党にとっても9条は駆け引きの材料だ。「私は保守」を自称する枝野幸男・立憲民主党代表は自民党にこう提案している。
「9条改正の議論をしたいと言う人がいるなら、その代わりに首相の解散権制約も俎上に載せてもらわないといけない」
昨年の“抜き打ち解散”で野党第一党だった民進党をバラバラにされた教訓から、「今後は野党が一方的に不利になる衆院解散をできないように解散権に縛りをかけるなら、9条の議論に応じてもいい」と言うのだ。
その野党の中で異彩を放っているのが、2017年9月に不倫疑惑が報じられ、その約1か月後の総選挙で無所属から出馬し当選した山尾志桜里氏(現在は立憲民主党)だ。
山尾氏は「リベラルからの9条改憲」を提唱。ホテルでの密会のお相手であるブレーンの倉持麟太郎・弁護士を政策顧問にして憲法の勉強会を活発に開いており、官邸サイドからも“憲法改正の与野党協議のキーマン”と熱い視線を送られている。政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「山尾氏は自衛隊の活動に一定の歯止めをかけて憲法に位置づける方向で9条改正を検討しており、安倍私案とかけ離れたものではない。だから官邸も彼女の動向に注目している。
本人にすれば、ホテルでの倉持氏との会合は本当に政策の勉強をしていたのだと不倫疑惑を払拭するためにも、2人で改憲案づくりに熱心に取り組んでいる面もあるのではないか」
野党の改憲論議も動機はさまざまなようだ。
※週刊ポスト2018年2月9日号