年間600万人以上が参拝する長野の名刹・善光寺のトップ、小松玄澄貫主(84)が1月22日、約1年半ぶりに本堂に上る「昇堂」を再開した。これで一連の騒動が収束し、再び穏やかな善光寺が戻ってくるかと思いきや、そうではなかった。これまで口をつぐんでいた小松貫主が本誌に告白した内容は、新たな「争い」を示唆するものだった。
騒動の発端は2016年6月、60代の女性職員に小松貫主が差別的な発言をしたとして、別の職員が部落解放同盟県連合会に相談したことだった。さらに別の60代女性職員は小松貫主から「毎晩、男を部屋に連れ込んでるんやないか」と言われ、「そんなことしてない」と答えると「じゃあ俺が行ってやろう」などとセクハラ発言があったと訴えた。
こうした情報が相次いだことで、善光寺傘下25寺院でつくる「天台宗一山」が、本堂への出仕停止を決議。当初は「事実無根」と応戦していた小松貫主だが、出仕を自粛して以降、沈黙を貫いていた。小松貫主が語る。
「差別発言は女性の出自を持ち出したという話でしたが、私は長野県仏教会会長として、人権擁護運動を推進してきた身。差別発言などするはずがありません。そもそも2016年8月、長野地方法務局が『人権侵犯の事実があったと判断できない』として“審判事実不明確”の決定を下しています。
セクハラ発言もありえません。こうした事情を本山にも説明し、納得してもらっています。だから貫主も続けられているのです」
ではなぜ、これまで黙っていたのか。