北朝鮮の核ミサイル完成を目前に、敵地攻撃能力の保有を今頃議論している日本はやはり平和ボケに過ぎるのだろう。結論は出ている。『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)の著者、エドワード・ルトワック氏は「先制予防攻撃」を訴える。
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時間はわずかとはいえ残されている。通常兵器による北の核兵器の予防的な破壊が、今ならまだ可能なのだ。北朝鮮は長距離弾道ミサイルに核弾頭を装備することに全力をあげているが、その能力はまずは日本、グアム、ハワイなどを攻撃できるようにすることを第一の目標としている。米本土攻撃の能力の確立はその後となろう。日本への脅威が大きいのだ。
だからこそ、日本は北朝鮮への予防攻撃や抑止の軍事行動を考えることが必要だろう。通常兵器による北への攻撃は効果が大きいからだ。
たとえばF15戦闘機による北朝鮮内の標的への攻撃能力を高めるべきだ。日本は約200機保有しているが、空対地ミサイルを搭載すれば、戦略爆撃機として使用できる。燃料タンクを増やせば航続距離も問題ない。まずはそれらの装備を至急揃えるべきだ。
ただし北朝鮮の核の脅威を抑えるには日本が核武装すればよい、という意見に私は同意しない。
第一に日本の核武装の発案は日本国内を激しく分裂させる。分裂した国が弱くなることは韓国の実例をみれば歴然としている。第二には、日本の核兵器は北朝鮮への抑止となりえないからだ。核抑止は最終的には核の使用の可能性がなければ、機能しない。だが核の被害者となった日本はそれを他国に対して実際に使うことは絶対にできないように思える。だから北朝鮮の脅威に対しては核ではなく非核の戦力の強化が好ましいのだ。