「世界のメディア王」との異名をとるルパート・マードック氏の元妻、ウェンディ・トン氏は「中国のスパイ」との疑惑が報じられた。トン氏は米ドナルド・トランプ大統領の娘婿で、大統領上級顧問を務めるジャレット・クシュナー氏との親しい関係を利用して、トランプ政権内部の機密情報を入手し、中国共産党指導部に流しているなどとの疑惑を米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」が報じたのである。
トン氏の中国スパイ説については、2013年のマードック氏との離婚時に、同氏側から流されており、今回も同氏がオーナーを務めるダウ・ジョーンズ社発行のWSJが伝えていることから、今回の騒動は同氏とトン氏との遺恨によるものとの見方もある。
WSJによると、米情報関係者はこのほど、クシュナー氏に「ウェンディ・トンは中国のスパイとの可能性が高く、クシュナー氏を利用している」などとして、クシュナー氏がトン氏と交友関係を深めていることに強い懸念を示した。
トン氏は現在、ホワイトハウスに近いワシントン中心部に、中国系企業が1億ドル(約110億円)もの資金をかけて中国風庭園を建設する計画を実現するために、政界やホワイトハウスに激しいロビー活動を展開している点も注目されている。
疑惑の真偽のほどは不明だが、トン氏の中国人スパイ説は目新しいことではない。それは、マードック氏がトン氏との離婚の原因に関して、「ウェンディが中国政府の手先だったからだ」との爆弾発言を行っているからだ。
それによると、トン氏は中国の大学生時代の1986年、人民解放軍総政治部のスパイ候補生になり、軍との密接な関係をもち、解放軍総政治部のトップスパイとして訓練されていたという。大学卒業後、米エール大のビジネススクールに留学したのも、欧米の要人に近づくためで、MBAを取得したのち、スパイ活動を本格的に開始したというのだ。