ルノー・日産連合の傘下で経営再建中の三菱自動車が3月、新型SUV「エクリプスクロス」を国内発売する。三菱自としては軽自動車の「eKスペース」以来、実に4年ぶりの新型車となるだけに期待も大きいが、同クラスのSUVには売れ筋のライバル車も多い。果たしてエクリプスクロスはどこまで強敵に挑むことができるか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がレポートする。
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SUVが世界的な流行商品となって久しいが、最近は日本市場でもSUV人気が高まりつつある。三菱自動車のエクリプスクロスはそんな日本のSUV市場のなかでも販売台数の多いショートボディモデル。三菱としてはぜひブランド再生のスタートアップとなるモデルに育てたいところだろう。
欧州ではすでに少量のデリバリーが始まっているエクリプスクロスのスペックをざっとおさらいしておく。
ボディサイズは全長4405×全幅1805×全高1685mmと同社のコンパクトSUV「RVR」より3サイズともやや大きい。シート配列は2列で乗車定員は5名。
エンジンは新開発の1.5リットル直列4気筒ターボの1本のみ。最高出力120kW(163ps)、最大トルク250Nm(25.5kgm)。能力的には「アウトランダー」の2.4リットル自然吸気エンジンと同等。燃費審査値はまだ公表されていないが、アウトランダーやRVRの審査値は超えてくるものと予想される。
駆動方式はAWD(4輪駆動)とFWD(前輪駆動)。AWDはセンターデフ式のフルタイムAWDではなく、湿式多板クラッチを用いた電子制御式とのことなので、アウトランダー、RVRなどと同じ仕組みであろう。変速機はCVT(無段変速機)。欧州では6速MTもラインナップされている。廃版となったスポーツセダン「ランサーエボリューション」にも積まれていた三菱後自慢の車両姿勢制御システム「S-AWC」も採用されるとのこと。
三菱のSUVといえばオフロード色が強いというイメージがあるが、エクリプスクロスはかつて同社が販売していた2ドアクーペ「エクリプス」の名を継承していることからもわかるように、デザイン的にはスペシャリティカー色が強い。言うなればSUVクーペといったところだろう。
というのがエクリプスクロスのあらましである。見る限り商品力はかなり高そうで、三菱復活の狼煙を上げるモデルとしては申し分なさそうに思えるが、どっこい、一筋縄で行けるとは限らない。SUV市場のなかでもド真ん中と言えるショートボディモデルのカテゴリーにおける圧倒的2強、トヨタ「C-HR」とホンダ「ヴェゼル」が立ちはだかっているからだ。