競走馬の種付けのシーズンは春。年明けで6歳ともなると、繁殖に上げるという選択肢が出てくる時期。あと何回走れるか、思案のしどころだ。週刊ポストの人気連載「競馬はもっともっと面白い 角居勝彦 感性の法則」より、牝馬の進退についてお届けする。
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結果を出している牝馬ほど、早く繁殖に上げたほうがいい。そんな理屈があるものの、馬はまだまだ走れそう。外厩制度の充実などで昔ほど馬が疲弊しない今は、6歳7歳ならば走り盛りとも思えます。
前提として、6歳まで現役で頑張ったような馬は、それなりに実績も残しているでしょうから、繁殖牝馬になれるケースが多い。引退か、現役続行か。このジレンマを、様々な視点から考えてみます。
馬主さんにすれば、早くその馬の子供が欲しいということもある。まだ若いうちに子供を産ませたい。そんな親心もあるかもしれません。一方、深く競馬を楽しみたいファンは、「もう引退?」と首を傾げるでしょう。将来の子供が母親同様に走るのかと思うと、もっと走りを見てみたい感慨もあるでしょう。
牧場の立場ははっきりしています。激しい競馬で馬はどうしても傷むので、疲弊していないうちに繁殖に上げてもらえたほうがうれしい。では調教師はどうでしょうか。
まだまだ走れる馬ならば手元に置いておきたいものでしょう。私に限って言えば、牝馬なら早く嫁さんに行ったほうがいいと思う。元気なうちに繁殖に返したい。成績を残してのお里帰りなので、ちゃんと牧場でかわいがってもらえます。ファンには申し訳ないところもありますが、馬主さんと相談して割と早く引退させることも珍しくない。