開幕が目前に迫る平昌五輪。中でも大きな注目集めるフィギュアスケート関連本の出版ラッシュが続いている。五輪2連覇という偉業に挑む羽生結弦選手を扱った本を中心に、織田信成さんなど、元人気選手たちの本も続々と出版。また、これまでなかったような、“スケオタ”と呼ばれるコアなファンを対象とした分析本も登場するなど、フィギュアスケートファンの裾野の広がりを印象付けるラインナップとなっている。
◆“つなぎ”に注目した異色のフィギュア本
プロスケーター・指導者・解説者として、またテレビでも大活躍の織田信成さんは、1月25日に『フィギュアほど泣けるスポーツはない』(KADOKAWA)を出版した。涙に彩られた自身のスケート人生を振り返るとともに、平昌五輪の注目選手たちの強み・弱みを解説している。羽生選手については1章を割く力の入れよう。今季、マスコミの注目を集めながら五輪を逃した本田真凛選手には、「かわいそうだった」と率直な感想を述べた上で、温かいエールを送っている。発売からわずか5日で3刷りという売れ行きだ。
また、元・日本スケート連盟フィギュア強化部長で、現在は羽生選手が所属するANAスケート部の監督を務める城田憲子さんは、『日本フィギュアスケート 金メダルへの挑戦』(1月18日発売、新潮社)を出版。伊藤みどりさんの時代まで遡り、日本のフィギュアスケートがどのように強くなってきたか、その舞台裏を初めて明かしている。
すでに平昌五輪を特集した多くのムック本が発売されているほか、『羽生結弦が生まれるまで』(2月5日発売予定、宇都宮直子著、集英社)、そして羽生結弦選手本人のインタビュー集『夢を生きる』(2月20日発売予定、羽生結弦著、中央公論新社)と、フィギュア本ラッシュは留まるところを知らない。
そんな中で“異色”ともいえるのが、『羽生結弦は助走をしない』(集英社)だろう。38年間フィギュアスケートを見続けてきたエッセイストの高山真さんが、独自の視点から、羽生選手の何がどう素晴らしいのか、なぜ美しいのかを、超絶マニアックに解説している。「フィギュアスケートライター」や「スポーツライター」とは名乗らない高山さんが、これまで多くのスポーツライターが書かなかったフィギュアスケートの魅力を、存分に教えてくれる。