「がんになってしまったら人生が終わる」──そんなことはない。罹患しても治療で克服、寛解(治療後5年経っても再発しない)している人は多くいる。「がん患者」としての人生に不安はつきものだが、正しい知識と治療によって、希望を持ち続けることができる。子宮頸がんと子宮体がんを経験している原千晶さんが、自身の体験を語る。
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子宮頸がんを発症したのは2005年、HPVウイルスが原因でした。手術することになったのですが、「再発防止のために子宮全摘出を」と主治医の先生には言われたのですが、将来子供を産むかもしれないと、部分切除(温存手術)をお願いしました。
今でもその判断自体は後悔していませんが、術後に“逃げてしまった”ことは後悔しています。がんを抱えていること、もしかしたら再発してしまうかもしれないこと、その恐怖から逃げるために、術後の定期検診から足が遠のき、“大丈夫”と自分に言い聞かせながら病院に通うのをやめてしまったんです。
ひどい腹痛で病院に駆け込んだのは、2009年。今度は子宮体がんの発症でした。明確な意味での再発ではありませんが、このときは全摘出を決意。手術を受け、抗がん剤治療を受けました。がんは“逃げ切れない病気”だと思います。そしてひとつとして同じパターンはありません。だからこそ、患者が持つ不安や恐怖は、誰にもわからない。
そんな孤独を少しでも解消したいと2011年に立ち上げたのが「よつばの会」です。がんについての悩みや不安を話し合ったり、情報交換をし合う場として定期的にサロンを開いたりしています。そこで皆さんが話す、再発への恐怖、先の見えない治療の苦しみは壮絶です。私自身、治療からもうすぐ10年が経ちますが、今も心からホッとした、という気持ちになることはありません。
でも、なんとか乗り越えられ、気持ちを強く持てているのは信頼できる先生に診てもらい、適切な治療を受けられたと思うから。がんについての情報収集は骨が折れる作業ですが、やる価値は絶対にあります。無知なままで恐怖や不安と闘うことが、結果的に悪い結果を生んでしまうことだってあるんです。信頼できる先生に出会うこと、そして日本中どこででも平等に受けることができる標準治療をしっかりと受けることはとても大切なことだと思っています。
※女性セブン2018年2月15日号