日本でタオルが作られるようになったのは、今から約130年前の1887年のこと。佐野村(現・泉佐野)で白木綿業を営んでいた里井圓次郎が、イギリスからの輸入タオルを参考に、織り機を開発したことから始まる。
「江戸時代よりこの一帯は綿織物の一大産地で、綿からとれる紡績糸で手ぬぐいを織っていました。明治になり、外国のタオルが入ってきたのを機に、風呂でも使える手ぬぐいのようなタオルが、日本でも作れないかと、里井さんが開発に着手。タオル独特の糸が“輪っか”になった“パイル織り”ができる機械を作り出したのです」(大阪タオル工業組合専務理事の樫井学さん・以下同)
泉佐野市を含む大阪府南西部を泉州と呼んだことから、ここで生まれたタオルは“泉州タオル”として親しまれるようになる。泉州タオルの特徴は、何といっても吸水性の高さ。これは“後晒し”という独特の工程で生まれる。
「タオルを織る際、糸切れを防ぐために綿糸に糊やロウをつけます。ただし、そのままだと、滑りはよくなりますが、水をはじくので吸水性は悪くなります。そこで、糸についた不純物を取り除き(精錬)、白くする(漂白)ため“晒し”という工程を行います。泉州タオルの場合は“後晒し”といって、タオルが織り上がった後でこの工程を行うので、吸水性に優れた、肌触りのよいタオルができるのです」
そんな工程を知ることが、使い勝手のよいタオル選びには大切、と同組合会長で『ツバメタオル』代表の重里豊彦さんは言う。
「5年ほど前から、団体のみ見学を受けつけていますが、いちばん盛り上がるのが、質問コーナー。柔らかく洗いあげる方法や、赤ちゃんには、専用の染料があるので“ベビー用”と書かれたものを選んだ方がいいなど、さまざまな疑問にお答えしていくと、皆さん、タオルに関する見方が変わるようで、選び方もわかってくるようです」(重里さん)
ちなみに、タオルをふっくらさせるコツは、干す前に10~20回振っておくことだ。明治20年から続くふんわり優しい肌触りを、ぜひ体感してほしい。
※女性セブン2018年2月15日号