病院に行くと“問題がある医師”と出会うこともある。そんなときは病院を変えた方がいい。その判断材料となるのが以下の項目である。
【チェックポイント1】看護師に命令口調
患者に乱暴な口をきく医師はほとんどいないが、いつも身近にいる看護師にはつい「素」が出てしまう。NPO医療制度研究会副理事長の本田宏医師はこう語る。
「看護師に命令口調や尊大な口のきき方の医師は、“早く患者をさばかなければ”という焦りや、時間に追われています。また難しい言葉や早口でまくしたてるような説明をする医師は看護師とのコミュニケーションが取りにくく、思わぬ医療ミスにつながる恐れがあります」
逆に看護師や高齢の患者にゆっくりとわかりやすい口調で話す医師には余裕があり、労働環境のよさがうかがえる。
【チェックポイント2】触診をせず、パソコンの画面ばかり眺めている
診察時は医師の「触診」と「目線」をチェックしたい。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんは近年の医師についてこう話す。
「患者が腹痛を訴えて内科を受診したのに、お腹を触らずに問診だけで終わらせるような医師は要注意です。とくに最近はパソコン画面だけをじっと見つめて患者の顔色や皮膚の状態を目で確かめようとしない医師が多い。患者が不安になるのも当然です」
最近は電子カルテが普及し、記入のため医師がパソコンに向かうのは仕方がない面もあるが、時間に追われた“お手軽診察”が医療ミスを招く危険性は否定できない。
【チェックポイント3】2分以下のスピード診療
とくに患者の不満が多いのは、「スピード診療」だ。病院経営に詳しい医療サービスアドバイザーの武田哲男さんはこう指摘する。
「『3時間待って3分診療』とよくいわれますが、余裕がない病院は短時間で少しでも多くの患者を診ようとします。なかには2分以内に診察すると、回転率を上げて売り上げに貢献したとして院長が医師を表彰する病院もある。こうした病院は“患者ファースト”からはほど遠い」
「2分診察」では患者が実害を被る恐れがある。
「医師は病院で入院患者の診察、検査、手術や研究とさまざまな仕事をしますが、最も疲れるのが外来です。ずっと椅子に座って次から次へと患者を診るため、どうしてもストレスが大きくなる。診察時間が短いことは必ずしも悪いことではないのですが、医師が追い詰められた状況だと『念のため専門医に紹介状を書こう』といった配慮をする余裕がなくなり、結果として患者の重篤な症状を見逃す可能性はあります」(岡田さん)