国民性は犯罪にも現れるものだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
* * *
強者と呼べばほめ過ぎだと叱られる。やはり呆れた輩たちというべきなのだろう──。それにしても「ここまでやるか」と、ある意味で感心させられる泥棒たちに関するニュースである。
2017年12月22日『看看新聞』が伝えた記事のタイトルには、こうある。
〈3人の泥棒が自宅で格安のスーパーをオープン ただし商品は全て市内の大手スーパーから万引きした商品ばかり〉
事件が起きたのは、上海市宝山区である。日本の新日鉄が協力した宝山製鉄所で有名な地域だ。そこに月浦鎮段ヂン村という村があった。
村には大きなスーパーがなかったが、あるとき小ぶりなスーパーが開店する。しかし、消費者の「あまりに安い」という不思議なうわさが広がり、とうとう現地の月新派出所が調査に乗り出すこととなった。そして、捜査で明らかになったのは、店に遭った品物がすべて各地で万引きしてきたものばかりだったという驚くべき事実だった。
彼らがターゲットにしていたのは主に超巨大なスーパーマーケットばかりで、それは宝山、嘉定、青浦などであった。いずれの場所でも大きな収穫があったようだが、そうして万引きしてきた商品を換金する場所がなかったため、自らスーパーを開いたということのようだ。
店内には醤油や油といった食料品から入浴剤やフェイスソープといった日用品、さらにはワインなどの高級酒から高級チョコレートまで品揃え豊富だったという。
記事には泥棒たちが開いた店の商品棚の写真も掲載されているが、たしかにちょっとしたコンビニといっても通用するほどのラインナップだった。