「IM比」という数値が注目されている。これは、国際的に生存率の代わりに用いられることがある数値で、値が大きいほどがんになっても亡くなりにくく、低いほど亡くなりやすいことを意味する。「がんに罹った患者数」÷「死亡者数」で計算され、つまり、“がんに罹っても生きているかどうか”を示す数値だ。
女性の大腸がん、乳がんともに生存率が2位の富山県。その結果の理由はどこにあるのだろう?
「生存率が高かった理由は明確にはわかりませんが、がん検診の受診率が他県に比べて高く、早期発見につながっているからかもしれません」(富山県厚生部健康課、以下「」内同)
各市町村が実施したがん検診受診率(2015年度 ※厚労省の事業報告を活用した県独自集計による)を見ると、乳がんの全国平均が14.5%なのに比べて、富山県は29.6%。大腸がんは全国平均が15.5%に対して富山県は26.6%と高い。
富山県ではさらなる受診率向上のため、こんな取り組みも行っている。
「市町村が実施する検診では、5年毎の節目年齢(40才、45才など)に加えて、女性ががんでは節目年齢の間にさらに1回、検診料の自己負担軽減を図る支援をしています。民間コンサル活用による効果的な受診勧奨のノウハウを市町村に波及させる研修会なども行っています」
企業と連携した取り組みにも注目したい。
「民間企業と協定を結んで、がんの予防促進やがんに関する知識を普及しています。協定企業の従業員を『がん予防推進員』として養成し、各企業の社員向け研修を実施してもらったり、県が作成したリーフレットを用いて、がんの現状や予防、早期発見の大切さなどを広めています」
昨年10月には県として初めて、「女性ためのがん対策フォーラム」を開催した。
「子育て・働く世代の乳がんの死亡率は高く、女性ががんに罹患したときの本人・家族への影響は大きいです。そこで女性のがん対策を一層強化するため、フォーラムを開催しました。乳がん経験者や専門医による講演を行い、相談ブースも設けて、女性向けのリーフレットを配布しました。がんに関する知識を深め、がんに罹患したときの生活のあり方などを考え、さまざまな悩みを相談できる機会を提供しました」
※女性セブン2018年2月15日号