「排除の論理」で総選挙に敗れ、今や自分でつくった希望の党から排除されそうな小池百合子・東京都知事。そんな八方ふさがりの中、起死回生を狙って国の税制改正に噛みついた。
〈都民の税金が奪われる!〉──東京都は刺激的な表題の小冊子を1月26日に作成した。内容も過激だ。
小池都政のキーワードである「メリハリ」をもじったゆるキャラ、羊のメリーちゃんとハリネズミのハリーくんが登場し、「東京都は国に一方的にお金を取られているのよ」「まるで都合の良いATMじゃないか!」などと掛け合いが展開される。
“ボクシング編”では、4コママンガで都と国がボクシングで闘い、引き分けと見せかけて国が都の背後から「法人事業税もっとよこせ」とパコッと殴りかかって税収を奪い取り、都が「卑怯だ!」と叫ぶのだ。
“官僚編”もある。背広を着た小狡そうな国(総務省と思われる)の役人が札束を持って「(東京から取ったお金ですが)地方で使ってください」と自治体を配り歩く姿が描かれている。総務官僚がみたら怒り出しそうなイラストだ。
都に作成の意図を尋ねると、「いわば東京対地方という構図を煽るかのような税制改正が行なわれていることを、都民の方にも知っていただきたい」(東京都財務局)と言うが、小池氏は明らかに総務省に喧嘩を売りたがっているように見える。
ところが、当の総務省は「この冊子については承知していますが、最近、都市と地方の税収格差が拡大しているということを踏まえて税制改正について検討するというだけの立場です」(総務省自治税務局)と涼しい顔。いくら喧嘩上手の小池氏でも、相手にされなければ、“負け犬の遠吠え冊子”に終わりそうだ。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号