国内

胃がんの生存率3位の宮城県 検診受診率は全国平均上回る

宮城県は胃がんの生存率3位(写真/アフロ)

 がんの治療技術は日進月歩で進んでいる。治療から5年、10年経っても再発せずに寛解、完治にいたる人が増えているだけでなく、治療を続けながら日常生活を送る人も少なくない。その差はどこにあるのか。

 その鍵となるのが、昨年秋に国立がん研究センターが公表した全国のがん患者数や罹患率の集計結果(2013年)。合わせて地域差を示す各都道府県別のデータも発表されているが、なかでも注目したいのは、「IM比」(がんに罹った患者数を志望者数で割った値)を基に算出された都道府県ごとのがん別の“生存率”だ。

 胃がんの生存率3位(IM比2.78)となった宮城県は日本で最初にがん検診が行われた地域でもある。

 1960年頃に東北大学の黒川利雄教授らが、「医師が病院にいるだけでは、治療が困難な進行がんの患者しか来ない。医師から現場に出向こう」と呼びかけ、車にX線装置をのせて胃がんの巡回検診を開始。がん検診は宮城県から全国に広まっていった。

 そのためか、検診の受診率がかなり高い。2013年の国民生活基礎調査によると、がん検診受診率は胃がん(40才以上)は全国平均約37%に比べて、宮城県は約50%が受診している。大腸がん、肺がんに関しても、受診率が全国2位という結果だ。

 また、検診で異常が見つかったときに受診する精密検査の受診率も高い。胃がんの精密検査受診率(2012年度、40~69才男女)も全国トップで、約80%におよぶ。全国平均は約54%で、最下位の沖縄県は約54%であることからもかなり高く、がんの疑いがあったときに放置せずに病院に行っていることがわかる。

 さらなる早期発見、早期治療を目指し、平成25年度からはイメージキャラクターを使って、より親しみやすい活動を行っている。

「民間企業等と県が連携・協力し『がんについての啓発』や『がん検診の受診率向上』に向けて取り組んでいます。がん征圧イメージキャラクターとして“がん助くん”“グー子ちゃん”を作成し、啓発活動などに活用していただいております。また、平成25年度からは、がんに関する知識を子供の時期に学習してもらうために、小・中学校においてがん教育を実施しています」(健康推進課がん対策班)

※女性セブン2018年2月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン