「私は保守。言ってみれば30年前の自民党宏池会です」──そう自民党の“反安倍派”に秋波を送った枝野幸男・立憲民主党代表だが、まさか逆に長年自分に仕えてくれたベテラン秘書が自民党に移籍してしまうとは夢にも思っていなかったに違いない。
その人物は元公設第二秘書・M氏。11年間も秘書を務め、官房長官、幹事長など枝野氏が民主党政権で出世階段を駆け上がっていくのを縁の下で支えた。
その腹心が、枝野氏が立憲民主党を立ちあげ、野党第一党に躍進し、“さァ、これから安倍自民党に対峙していこう”というタイミングの昨年末に辞表を出した。
移籍先は自民党の若手、神田憲次・代議士(当選3回)の政策秘書だった。神田氏は安倍首相の出身派閥・細田派に所属。選挙区(愛知5区)では毎回、立憲民主の重鎮・赤松広隆・衆院副議長と激しく争っている。
外から見ると、敵陣営に寝返ったも同然の“鞍替え”に、立憲民主の秘書からは「枝野代表と何かあったのか」といぶかしがられている。M氏を直撃した。
「寝返りなんてとんでもありません。枝野事務所は円満退職です。昨年の衆院選で枝野さんが新党を立ち上げ、大勝利を収めた時に秘書として『やり遂げた』と感じ、次のステップに進むいい機会だと思った」
そしてこう続ける。
「私の夢は秘書の最高峰、『総理大臣首席秘書官』になることです。47歳の私には時間がない。秘書としてもっと研鑽を積むため、選挙に強くない議員の秘書が良かった。神田代議士は過去2回ともに比例復活と、私の挑戦の場にふさわしい。懐が深く、自分の考えをしっかり持った代議士と共にのし上がっていければベストだと考えています」
自民党3回生の方が野党第一党党首の枝野氏より“総理の座”に近い、と見ているのだろうか……。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号