「IM比」という言葉を聞いたことがあるだろうか? これは国際的に、生存率の代わりに用いられることがある数値で、値が大きいほどがんになっても亡くなりにくく、低いほど亡くなりやすいことを意味する。「がんに罹った患者数」÷「死亡者数」で計算され、つまり、“がんに罹っても生きているかどうか”を示す数値だ。そんな数値で注目されるのが長野県だ。
乳がんの“生存率3位”という結果に、県の保健・疾病対策課は「今回の結果だけではなく、今後も継続してデータを確認していく必要がある」(以下「」内同)と話すが、長野といえば平均寿命が男女共に女性全国1位、男性が2位と世界からも注目される長寿県。がんの生存率は、長寿の秘訣と無関係とはいえないだろう。
県の長寿をけん引してきたのは佐久市だ。戦後、若月俊一という医師が赴任し、在宅医療や訪問医療を全国に先駆けて実施。その結果、農村部の住民も医療を受けられるようになっただけでなく、塩分を控えれば病気を防げるといった予防医学も住民に浸透していった。
「地域の医療機関が積極的に農村部の健康管理や出張診療、在宅医療などを行っており、自ら積極的に保健活動や地域医療に取り組む住民が多いのが長野県の特徴です。長寿の主な理由として考えられるのは、【1】高齢者の就業率が高く、生きがいを持って生活していること、【2】野菜摂取量が全国トップであること、【3】ボランティアによる自主的な健康づくりへの取組みが活発、【4】保健師数が全国トップであることでしょうか」
がんに関する取り組みも積極的に行っている。
「県内のがん診療連携拠点病院などに対して機能評価を行い、医療保険体制のレベルアップを図っています。また、がんに関する正しい知識を普及するため、2013年に『長野県がん対策推進条例』を制定し、同年から『がんと向き合う週間』として、毎年10月15日から1週間、がんに関するイベントやキャンペーンを県内各地で実施しています」
※女性セブン2018年2月15日号