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介護芸人が引っ張りだこ 高齢者のツボは「容姿や体の衰え」

人気介護芸人で作業療法士の石田竜生さん

「さぁ、これから5秒でみなさんと同い年になります!」。そう言いながら、ヒョイッとおばあさんのかつらをかぶるとドーンと笑い。つかみは上々! 随所に笑いがちりばめられたリハビリレクリエーションを行い、全国から引っ張りだこの人気作業療法士、石田竜生(たつき)さんだ。

 石田さんは、作業療法士として働きながら吉本総合芸能学院(NSC)に通い、フリーのお笑い芸人・舞台俳優としても活動。日本介護エンターテイメント協会を設立し、介護現場を笑いでいっぱいにすべく、セミナー講師・イベントゲストとして日本全国を飛び回っている。

◆笑いは眠った感情を呼び覚ます起爆剤

「人は気持ちがないと動けないものです。年を重ねて体の機能が衰えると、喜怒哀楽のメリハリがなくなり、リハビリをする意義がわからない、気力を失った人も多いです。

 そんなとき笑いで、まず感情を動かしてあげるのです。自分で大笑いしたことに驚く人もいますよ。『こんなに笑ったのいつぶりかしら…』って。眠っていた感情や笑い方が、揺さぶられて目覚める感じのようです。そしてまた笑いたいと、前のめりになる。これが体をしっかり動かすきっかけになるのです」(石田さん、以下「」内同)

 おばあさんに変身する際に、「5秒、一緒に数えてくださいよ! 5、4、3…」と、声を出してもらう。軽く体を動かしたり、声を出したりすると、思い切り笑いやすくなるという。

◆体の衰えや人生の悲哀も共感しあえる笑いのツボ

 お笑い芸人の視点で見ると、若い年齢層の人たちに比べて、高齢者にはかなり共通した笑いのツボがあるのだという。

「ずばり“容姿や体の衰え”に関することですね。若い人の場合、容姿などはかなり個人的なコンプレックスですが、高齢になると、あちこちが痛い、記憶があいまい、動きが鈍い、入れ歯、顔のしわなど、すべてみんなの共通なのです。

『指3本入るくらい口を開けて。でも4本入れると入れ歯取れちゃいますからねー』などと言うと、ウケます(笑い)。自分の老いに不安やストレスを抱きつつ、それをおもしろがれる懐の深さが、高齢者のみなさんにはあります。実際にみんなで笑うと不安もストレスも吹き飛ぶのでしょう」

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