大学在籍時に奨学金を受けた学生が、その返済に苦しむケースが急増している。奨学金の受給率は入試難易度と一定の相関関係が読み取れ、難関大学ほど受給率が低い傾向がある。
日本学生支援機構の『学生生活調査』によると、大学生の「親の平均年収」は私立より国立が高く、学費は国立の方が安い。結果、国立は卒業生の奨学金延滞率(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)も低くなる。「親の平均年収1000万円以上」とも言われる東大生の延滞率は0.4%。京大、北海道大、東北大、九州大なども同じ水準だ。
東大より「返済力」が高いのが名古屋大(延滞率0.2%)だ。同地域の名古屋工業大学(0.5%)、愛知教育大学(0.3%)も低い。「ケチで見栄っ張りと言われる県民性を反映して必要以上に借りず、滞納は恥ずかしいと思うのでは」とは名大OBの解説だ。
有名国立大のなかで「返済力」ワーストは、意外にも財界トップや大企業の経営者を輩出してきた一橋大(延滞率0.9%)だった。
「本学は比較対象の各大学より学生数も奨学金貸与者数も少ないため、延滞者数の微増減が率の変動に大きく影響する。この数字だけで問題があるとはあたらないと考える」(一橋大学担当者)
有名国立の延滞率ではなく、奨学金の「受給率」に焦点をあてて分析すると地域格差が浮かび上がった。東大(15.4%)東工大(16.8%)一橋大(16.7%)と東京にある大学は奨学生が少ないが、京大(21.7%)阪大(24.9%)北海道大(29.1%)東北大(34.8%)九州大(42.6%)と地方ほど受給率がハネ上がる。東京と地方の「大学生の親」の“所得格差”を反映していると推測できる。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号