日本学生支援機構によれば、2015年度末時点での奨学金の延滞額は約880億円にのぼる。卒業してすぐに“借金地獄”に陥る学生が少なくないのだ。そうした中で、同機構が昨年4月、全国751校の大学別に「延滞率」(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)のデータを公表。これを基に、奨学金の延滞率が高い大学をランキング化した。
延滞率ワースト1位は、「人づくり革命」を掲げる安倍首相の地元・山口県の至誠館大学(9.9%)。学生の3分の2が奨学金を借り、10人に1人が借金を返せなくなっている。どんな事情があるのか至誠館大学に話を聞いた。
「本学は児童養護施設出身の学生を積極的に受け入れており、延滞率が高いのは、卒業後も実家から通勤できない、奨学金の返済に困っても親に一時的な支援も頼めないというケースが多いのではないかと考えている。しかし、日本学生支援機構に延滞者の内訳を尋ねても回答を拒否されるため、対策を立てるのが難しい」(原田憲一・学長)
延滞率上位の大学はいずれも受給率が高い傾向があった。「大学でキャリアを身につけたい」と借金(奨学金)で地方の中小私大に進学した学生たちが、卒業しても返済に必要な収入を得られず、借金苦に陥る現実がそこからもうかがえる。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号