総務省が1月30日に発表した家計調査の「年間餃子消費量(2017年度)」で栃木県宇都宮市が、4年ぶりに日本一の称号を取り戻した。「年間餃子消費量」とは1世帯が年間どれだけの量の餃子を消費(購入)したかを調べたもの。宇都宮市が長年1位をキープしていたが、2011年度、2012年度は静岡県浜松市が1位。2013年度に宇都宮市が1位を奪還したが、2014年度から3年連続で浜松市が1位となっていた。
そして4年ぶりに宇都宮市が餃子日本一に返り咲いたわけだが、首位陥落した今、浜松市民は何を思うのか──。さぞがっかりしてるかと思いきや、どうやら様子は違うようだ。
60代のタクシー運転手が「死ぬ前になにが食べたいかって言われたら餃子だね。浜松の餃子はキャベツが甘くてとにかくおいしい。餃子だけは奥さんに作らせないで自分で作るんだ」と笑えば、50代の主婦は「どこの餃子がいちばん?と聞かれたら“浜松”って答えるよ。キャベツがいっぱい入っているからヘルシーで、美容にもいい気がするの」と自慢げに話す。
浜松っ子たちは、みな、それぞれに餃子への熱い愛は語るが、トップを奪われ「悔しい」という気持ちは誰も口にしない。浜松餃子学会学長の斎藤公誉さんが言う。
「今回2位になってしまいましたが、気にしてる人はほとんどいないんじゃないかな。宇都宮とはお互いに切磋琢磨しているけど、蹴落とそうという気持ちはどこにもないんです。今回またあちらが1位になったことで“やっぱりお互いに餃子が好きなんだ”ってことを確認できて嬉しかったですね」
かつて「餃子戦争」と呼ばれた面影は一切感じられない。これはどちらの都市の中にも、餃子が観光客を呼び寄せる“道具”ではなく、“郷土食”として根付いた証左なのかもしれない。
※女性セブン2018年3月1日号