中国の古都、陝西省西安市では大気汚染が悪化していることから、昨年12月に完成した高さ100mの世界最大の空気清浄タワーを稼働させ、大気汚染改善の国家プロジェクトに乗り出した。すでに、市内12カ所に大気汚染の観測基地を設置し、毎日大気の汚染度を計測しているが、空気は確実にきれいになっているという。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
しかし、西安はシルクロードの起点で、秦の始皇帝の兵馬俑の博物館があるなど中国随一の文化都市だけに、「タワーはあまりにも醜悪で、古都にふさわしくない」などとの声も一部には出ている。
このプロジェクトは中国政府のシンクタンクで、中国で最も学術的な権威が高い中国科学院の曹軍驥・地球環境研究所長がリーダーになって、進めているもの。プロジェクトは3年前に立案されており、昨年末にようやく実証段階に入っている。
この空気清浄タワーは汚染された大気を吸い込んで温室に入れ、太陽エネルギーで加熱。暖まった大気を複数の浄化フィルターを通してタワーから放出するという仕組みだ。このタワーは毎日1000万立方mの大気を浄化し、その効果は10平方kmの範囲に渡っているという。
「サウス」紙の取材に対して、曹所長は「西安では冬場に暖房に石炭を使用しており、極度に汚染がひどくなるが、このタワーを使えば、汚染された空気でも、汚染はかなり軽減されて通常レベルの大気になる」と語り、かなりの成果が上がっていることを誇示している。