「奨学金」といえば、かつては成績優秀な苦学生のためのものだったが、いまや奨学生の実態は大きく変わった。国の奨学金制度が拡充され、成績や親の収入などの基準が緩和され貸与枠も大幅に拡大されたが、一方では“奨学金破産”が社会問題になっている。
中には、山口県の至誠館大学のように、奨学金延滞率(※奨学金貸与終了者のうち、3か月以上返済が滞っている人の割合)が、9.9%に達する大学もあるなか、延滞率がゼロの大学も41校ある。多くは医大、歯科大、薬科大、看護大など、卒業して国家資格を取れば就職が保証される「返済力」が強い医療系大学だ。
その中で“異彩”を放つのが医療系ではない仙台白百合女子大だろう。中高一貫の付属校を持ち、地元での名門ではあるが、同大学の学生の5割が奨学金を借り、延滞者は1人もいない。何が違うのか。
「複数回の奨学金説明会に加え、貸与から返済までの手続きの指導を学生一人ひとりと対面で行なっています」(仙台白百合女子大担当者)
日本学生支援機構が大学別の延滞率を公表したことについて、日本私立大学連盟は〈故なき風評を流す〉と批判しているが、大学の校風や教育姿勢、卒業生へのフォローが「返済力」に反映されていないとは言えないはずだ。
※週刊ポスト2018年2月16・23日号