「餃子」といって思い出される都市といえば、栃木県の宇都宮市と静岡県の浜松市だ。それぞれの都市では、餃子がご当地グルメとして愛されており、「餃子日本一」の座をかけて熾烈な「餃子戦争」が繰り広げられている。
そして今、宇都宮と浜松に追いつけ、追い越せとご当地餃子で町興しをする都市が増えている。その代表例が2007年に、新たな名物として餃子を広くアピールして、地域活性化に貢献したいという思いから「かわさき餃子舗の会」を発足した神奈川県川崎市だ。
同市は総務省総計局家計調査の品目別データ(2006~2008年)によれば、外食の中華食に対する支出金額は日本一だったという。そこで目を付けたのが餃子だった。2009年7月には餃子専用として「かわさき餃子みそ」を発表したことによって、各メディアから取り上げられ、「川崎餃子=みそだれ」と日本中に知れ渡った。
川崎駅前の餃子専門店から出てきた50代の川崎市民に話を聞いた。
「川崎は老舗の餃子店が多いし、どの店もおいしい。“みそだれブーム”に乗って新しい店もどんどん誕生しているし、そのうち宇都宮や浜松を追い抜いちゃうんじゃないかな(笑い)。そうなったら嬉しいね」
『うまい餃子』(宝島社刊)の著者・パラダイス山元さんが解説する。
「宇都宮と浜松の成功を手本として、他の地方都市でも餃子に力を入れ始めました。川崎だけではなく、『津ぎょうざ』が人気の三重や岡山、東京でも神田や立川など、“第3の餃子の町”が次々名乗りを上げています。
餃子は地元の食材を使ったり、既存の名物を餡に入れたりと、その土地、その土地の特徴を表現しやすいため、町興しに最適なんです。今やアジア圏だけでなく、フランスやスウェーデンでも餃子レストランが人気。今後もこの傾向は続きそうです」
※女性セブン2018年3月1日号