「加齢性ストレス」が三大疾病を引き起こす原因になっている──そのことを取り上げた本誌・週刊ポスト記事(2月9日号)は反響を呼んだ。どんな人がその加齢性ストレスになりやすいのか。そこには意外な傾向があった。
記事のきっかけとなったのはストレスを受けている人のほうが、がんになるリスクが高くなるという国立がん研究センターの発表(1月20日)だった。
40~69歳の男女約10万人を追跡調査した結果、自覚的なストレスレベルが最も高いグループは、最も低いグループに比べて、がん罹患リスクが11%も高く、とくに肝がんと前立腺がんでは顕著な発症リスクの上昇が見られた。
さらに海外の研究(インターハート研究)では、東洋人の場合、ストレスを抱えている人は心筋梗塞のリスクが2.1倍も上昇することが判明している。
ストレスにより心拍数が上昇し、血流が増加、血管がダメージを受けることにより、脳卒中のリスクが上がることも分かっている。在宅訪問診療を行なっている「やまと在宅診療所大崎」院長で老年科医の大蔵暢氏が指摘する。
「現役世代のほうが仕事などによる強いストレスに晒されている印象がありますが、実はシニアのほうが受けているストレスが多い。
シワや白髪の増加といった外見の変化はストレスの要因になります。友人や親戚の死がより一層、身近になる上に、退職したことで社会から切り離された疎外感を強く感じることもある。年齢を重ねると受けるストレスは増えていくのです」
「加齢性ストレス」が厄介なのは、仕事に偏っていた現役時代のストレスよりも、原因が複雑多岐にわたるため本人が気づきにくいところだ。
※週刊ポスト2018年3月2日号