「2月上旬から麗禾(れいか)ちゃんが大風邪をこじらせて1週間ほど入院していたんです。『初春歌舞伎公演』(1月26日まで)で幼少のかぐや姫を演じ、はじめて歌舞伎の本公演への出演を果たしました。琴の音色に合わせて優雅な日本舞踊を披露し、舞台裏でも緊張した様子は見せていなかったんですが、負担がかかっていたのかもしれません。入院中、海老蔵さんは他のことがまったく手につかない様子でした」
市川海老蔵(40才)の長女・麗禾ちゃん(6才)を襲ったアクシデントを、歌舞伎関係者はそう明かした。
「かぐや姫を演じるにあたって、麗禾ちゃんは『日本舞踊市川流』の重鎮から、舞踊のしきたりや所作の特訓を受けたそうです。麗禾ちゃんは見るのも演じるのも大好きな、生粋の歌舞伎ファン。懸命に練習する姿に、海老蔵さんは顔をほころばせていました。でも、麗禾ちゃんが歌舞伎にのめり込もうとすればするほど、海老蔵さんの悩みは深くなっていくんです」(前出・歌舞伎関係者)
昨年6月に麻央さん(享年34)が天国にのぼってから、間もなく8か月。
海老蔵は、2020年の東京五輪に合わせて十三代目市川團十郎を襲名することが既定路線といわれ、同時に、海老蔵の長男・勸玄くん(4才)が、八代目新之助を襲名すると囁かれている。成田屋の嫡男である勸玄くんは、将来、海老蔵、團十郎という大名跡を受け継ぎ、歌舞伎役者としての人生を歩むだろう。
一方、男性役者が女形を演じる歌舞伎において、女性は子役としてしか舞台に立つことができない。もちろん、名跡を継ぐこともできない。それはいつの日か、麗禾ちゃんの前に「梨園の女」として生まれた高いハードルが立ちはだかることを意味している。
市川宗家当主として次世代の歌舞伎界を牽引する海老蔵は、昨年2月、実験的な舞台「六本木歌舞伎『座頭市』」の主演を務めた。相手方を務めたのは、尾上菊五郎を父に持つ寺島しのぶ。その時、海老蔵は、歌舞伎と女性についてこう語っている。
「歌舞伎が今の形になってから2、300年という月日が経ってそろそろ考え直す時期(中略)性別を理由に女性が歌舞伎をできないことが、ぼくにはわからなかった」
麗禾ちゃんも、いつかは人生の選択を迫られることになる。海老蔵はすでに、そこに先回りの手を差しのべようとしている。
「芝居の稽古をして日本舞踊や三味線を習って…そういった、これまでの『梨園の女』の過ごし方を、海老蔵さんは麗禾ちゃんにさせるつもりはないそうです。歌舞伎出演も、日本舞踊も、麗禾ちゃんが“やってみたい!”と希望したからであって、強制する気はない。むしろ、麗禾ちゃんが今夢中なのはバレエ。昨年8月の発表会では、白いチュチュを着て『眠れる森の美女』を披露しました。もし、麗禾ちゃんが他の一切をやめてバレエだけに注力したいと言ったら、海老蔵さんはどんなサポートも惜しまない決意でいるそうです」(前出・歌舞伎関係者)
その姿を、天国から麻央さんも見ているに違いない。
※女性セブン2018年3月1日号