どんなスポーツにも「ルール」が存在し、競技そのものが定義づけられる。選手たちはルールを前提に鍛練を重ね、競い合う。ところが時に、“前提”としていたルールが変わることがある。冬季五輪において印象に残っているのは、2010年のバンクーバー五輪、女子フィギュアの浅田真央の演技だろう。ノンフィクションライター・柳川悠二氏が綴る。
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冬季五輪の華・フィギュアスケート。2年に一度のペースで採点基準の変更があるため、「もしあの時基準が違ったら……」と想像を働かせてしまう場面が少なくない。
2010年バンクーバー五輪では浅田真央がSP、フリー合わせて3度のトリプルアクセルを成功させるも、ライバルのキム・ヨナに敗れ、銀メダルに。トリプルアクセルを含む高難度ジャンプの基礎点が上がったのは、その翌シーズンからだった。
平昌五輪に先立っては、演技後のビデオ判定によって回転不足が厳しくチェックされる変更があり、フィギュア団体女子SPに出場した宮原知子はそれにより得点が伸びなかったのではないかと話題になった。
※週刊ポスト2018年3月2日号