中国の温家宝元首相の親族の資産運用・管理を任されていた投資会社の女性社長が昨年9月、中国当局によって身柄を拘束され、腐敗容疑などで取り調べを受けていることが明らかになった。この女性社長は2012年に、温氏の母親名義で中国の保険会社最大手の平安保険の株式取得を仲介したとされ、その額は1億2000万ドル(132億円)にも上っていたほか、温氏の妻や息子らの資産を合わせると約27億ドルにも達するという。
また、投資会社社長はすでに汚職の疑いで逮捕・起訴されている孫政才・元重慶市党委書記(元党政治局員)の犯罪にも絡んでいるとされる。それだけに、投資会社社長の容疑が固まり、逮捕されるような事態にでもなれば、温氏自身や、温氏の家族や親族にも捜査のメスが入る可能性も出てくる。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
この女性社長は段偉紅氏で現在49歳。生まれは天津市で、温氏と同郷であることから、温氏一族に取り入ったとみられる。
段氏と温一族とビジネス上のつながりは1990年代に段氏とその夫が温氏の母親の楊志雲さんや温氏の弟や娘らとともに共同経営者として投資会社を設立したことに遡る。
その投資会社を通じて、楊志雲さんが2007年、時価で1億2000万ドルもの平安保険の株式を取得。しかも、株式は楊さんの名前が出ないように会社名義で購入されており、楊さん以外の人物が仲介するなど複雑なルートを使っていたという。
また、段氏夫妻は温氏の実弟の温家宏氏とともに、汚水処理や医療ゴミ処理の会社を経営し、中国政府と約3000万ドルもの契約を結んだ実績もあるほか、温氏の妻の張培利氏や温氏の長男の温雲松氏ともそれぞれビジネス上の結びつきは深いという。