書店の料理本コーナーには水煮缶に関する健康本や料理本がズラリと並ぶ。しかもそれを手に取るのは主婦層ばかりではなく、中年男性も多いという。
「水煮缶は、例えば魚なら新鮮なうちに、トマトなら完熟で、それぞれ栄養素が高い状態で煮たまま缶詰にしたものです。完全密封されているので酸化せず、栄養と風味が保たれています。水煮缶に含まれている塩分は総じて少ないので、減塩にも最適です」
そう話すのは、白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二医師。長寿遺伝子研究の第一人者として知られ、水煮缶の健康や若返り効果に注目している。1月末には『超健康! 若返る! ラクうま「水煮缶」ダイエット』(宝島社)を上梓した。
中でも白澤医師が絶賛するのはサバの水煮缶だ。
「サバは血液の流れをスムーズにするEPAが豊富です。EPAを摂るとGLP-1という消化管ホルモンが増加し、『食欲をコントロールする』『血糖値の上昇を緩やかにする』『血糖値を安定させる』という3つの効果を同時に期待できる。さらに、うつ病や認知症予防が期待できるDHAも多く含まれています」
女子栄養大学栄養クリニック所長で、『血管を強くする「水煮缶」健康生活』(アスコム)を監修した田中明医師はサケの水煮缶を推す。
「サバと同じくEPAやDHAが多く含まれています。それに加えてアスタキサンチンというピンク色の色素成分には、活性酸素を除去して、血管の内皮細胞を強化する作用があるので、動脈硬化の予防効果が期待できます。アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンEの約500倍、ビタミンCの約90倍もあるとされています」