芸能

寺島しのぶ「梨園の女」としての苦しみ 家族への反骨の演技

名門・音羽屋の長女として生まれた寺島しのぶ

 中世日本の女性「出雲阿国」が祖だとされるが、いつの間にか、歌舞伎の舞台から女性は姿を消す。いくら憧れても、芸を磨いても、現代の歌舞伎では、女は役者になれない。市川海老蔵(40才)の長女・麗禾ちゃん(6才)は、歌舞伎本公演への出演を果たしたが、女性が舞台に立てるのは子役としてのみ。いつの日か「梨園の女」としての高いハードルが立ちはだかることとなる。

 名門・音羽屋の長女として生まれた寺島しのぶ(45才)は、歌舞伎界の“女人禁制”のしきたりに真っ向からぶつかった。それは、寺島の弟・尾上菊之助(40才)の存在だった。

《弟の菊之助が6歳で初舞台を踏んだ。すると、晴れやかな歌舞伎の世界を歩み始めた弟と父、母の、私を除いた家族3人で、頻繁に歌舞伎の話をするようになって。

 そんな時間は、孤立感が込み上げてきて、ひとり自分の部屋に閉じこもっていました》(『YomiuriWeekly』2003年3月2日号)

 幼少の寺島は、父・尾上菊五郎と同じ舞台に立つことを夢見ていた。だが、成長するにつれ、それが実現不可能な夢であると自覚し、憧れは怨嗟へと変わっていく。

「放課後を友人の家で過ごし、そこで宿題をし、夕飯を食べる。家には寝に帰るだけという生活を続けた時期もあったそうです。それでも演技の道を諦めきれず、映画で体当たりのラブシーンを演じて女優としての地位を築き上げました。実は、母・富司純子からは、“裸になったらお嫁にいけないから絶対やめなさい”と猛反対されていたそうです。それを押し切ったのは、歌舞伎を中心に回る家族への反骨もあったんじゃないでしょうか」(芸能関係者)

 現在は日本舞踊の名取として活躍する市川海老蔵の妹・ぼたん(38才)は、名門に生まれたが故に目指すべき場所を見つけられず、もがいた。

《歌舞伎役者の娘さんで自分も役者になりたかったという人がいるけど、私はそういう願望はなかった》(『週刊朝日』2006年6月30日号)

 父・團十郎さんとの対談で、ぼたんは過去の心境をそう吐露していた。

「幼少から踊りに三味線に長唄の稽古に通いながら、ぼたんさんはいまいち身が入らない時期が続いたんです。稽古を黙って休むことも頻繁にあったそうで、團十郎さんから舞台出演を打診されたときには、“いやだ!”と拒絶して家出したそうです。結局、明確に進路を決めたのは、梨園の女としてはだいぶ遅い成人後の大学3年生のときでした」(歌舞伎関係者)

※女性セブン2018年3月1日号

関連記事

トピックス

石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン