がんや脳卒中、心筋梗塞を招く恐れもある「加齢性ストレス」は、仕事などによる強いストレスに晒されている現役世代に多い印象があるが、実はシニアのほうが受けているストレスが多く、原因も複雑多岐にわたるため本人が気づきにくいという。
では、具体的にはどのような人が「加齢性ストレス」に晒されているのだろうか。
例えば、老化予防のために新しい趣味を持つ人もいるが、いいことばかりとは限らない。高齢者1000人に生活満足度を調査した辻川覚志医師がいう。
「『ボケ防止に』とパソコンを始める人もいますが、使い慣れてないのでパソコンの調子が悪くなると対処の仕方が分からず、ストレスになります」
パソコンを使って日記をつけるなど、使用頻度が高いシニアほど、パソコンの“調子”が自身へのストレスに直結するようだ。
加齢とともに体が衰え、今まで何ともなしにできていたことが気づくとできなくなってしまうこともある。特に日常的にしなければならないことであればあるほどストレスは溜まりやすい。
「ある朝、ベッドから起き上がろうとして転倒してしまった時は、年を取ったことを痛感して、落ち込んでしまった」(78歳男性)
在宅訪問診療を行なっている「やまと在宅診療所大崎」院長で老年科医の大蔵暢氏はシニアのストレスについてこう話す。
「老いをちょっとずつ自覚していくうちに、生活でしなければならないひとつひとつがストレスになっていくのです」
※週刊ポスト2018年3月2日号