異なる分野の専門家が集まって新しい時代の文化を創造することを目的とした「エンジン01文化戦略会議」。
16回目を迎えたオープンカレッジ(1月26~28日)は大分市を舞台に150人超の文化人が集結、大分大学キャンパスで119のセミナーが開催された。
「島津斉彬の天狗説、大いに賛成です」
1000人以上が集まったシンポジウムで、NHK大河ドラマ『西郷どん』の原作者・林真理子氏と脚本家の中園ミホ氏を前にこう語ったのは、大会委員長を務める作家の井沢元彦氏だ。
『西郷どん』の第1話で、少年時代の西郷隆盛と将来の薩摩藩主である島津斉彬が出会うシーンがある。
「当時斉彬はまだ家督を継いでいない若様。だから江戸に人質としていなければという鉄の掟がある。これを重視すれば第1話はウソになる。
ただ斉彬のバックには幕府の大物がいた。根回しすれば江戸を留守にするのも可能だったかもしれない。天狗様になりすまして斉彬が薩摩入りする中園さんの脚本は面白い」(井沢氏)と、中園氏の「逆説」ならぬ「仮説」を大いに持ち上げた。
中園氏は「歴史好きの方々からはお叱りの言葉をいただくことも多々あります」と背筋を伸ばしながら、「今後の見どころは(笑福亭)鶴瓶師匠演じる岩倉具視の変人っぷり」と明かした。どんな岩倉像が描かれるのか楽しみだ。
※週刊ポスト2018年3月2日号