東京・品川区にある薬師寺別院。1月27日、本堂は150人の聴衆で溢れかえっていた。集まったのは中高年の男女が中心。目当ては、奈良・薬師寺の山田法胤・長老(77)と、日本橋清洲クリニック院長の佐藤義之・医師(65)による「心と体の免疫」の説法だ。
奈良の薬師寺といえば法相宗の大本山であり、1300年の歴史を持つ名刹。1998年には世界遺産に認定された。山田長老は、その最高職である管主を2009年から7年にわたって勤めた。説法の名手として仏教界では知らぬ者のない存在である。
佐藤院長は、自身のクリニックで「免疫レクチャー外来」を設けるなど、免疫療法を行なっている。被爆2世であり、現在も股関節に障害を抱えている。そうした経験を踏まえて“患者が病気と共存するための医療”を実践している。
僧侶と医師のコラボ説法──この異色の試みが始まったのは昨年1月だった。
「健やかな人生を送る上で、心の充足と体の健康を分けて考えることはできない」
「心の免疫を高めることは、体の免疫も高めていく効果がある」
そう意気投合した2人がリレー形式の説法を始めたのだ(開催は毎月第4土曜日、東京の別院のみ)。1月の説法では、佐藤院長が「体の免疫」について語れば、その後に山田長老が「心の免疫を高めるヒント」を説いた。