この4月から実施される診療報酬の改定で、「医者へのかかり方」が大きく変わるのをご存じだろうか。改定の狙いのひとつは、いわゆる「かかりつけ医」へのシフトである。
かかりつけ医の機能を持つ診療所が初めての患者を診察すると、診療所への報酬が800円多くなる。また、複数の診療所が連携して、ある患者を24時間往診できる体制を作ると、その患者を診る場合の報酬がひと月2160円増える。
増え続ける高齢者が大病院に集中すると、重症者や救急患者への医療提供に支障が出てしまうため、一般の患者を地域のクリニックに誘導する必要に迫られている。だからこそ、国は「かかりつけ医」優遇に動いたわけだ。
『かかりつけ医は選ぶ時代』(北國新聞社刊)の著者で金沢市・ティーズ内科クリニック院長の土山智也医師が言う。
「今でも大病院を受診するにはかかりつけ医の紹介状が必要で、紹介状がない場合は5000円以上の定額料金を診断料とは別に取られる。今後はますます大病院での受診がしづらくなると考えられます。
患者にとって、かかりつけ医の存在はこれまでより大きくなり、大げさな話ではなく、かかりつけ医に自分の命を預けることになるのです」
もしかかりつけ医が判断を誤れば、大病院を受診する前に病状が悪化し、手遅れになる可能性もある。「近所にあるから」といった安易な理由でかかりつけ医を選ぶと、後悔することになりかねない。
※週刊ポスト2018年3月9日号