年を取ってから衣食住で悩むのは何としても避けたいもの。高齢で保証人もおらず部屋を借りられなくなってしまった場合、解決策はあるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
68歳の年金生活者です。身寄りがなく、ひとりで生活しています。困っているのは30年来住んでいるアパートが取り壊されることになり、転居しなければいけないのですが、どの不動産屋も高齢と保証人がいないという理由で部屋を紹介してくれません。やはり役所などに相談したほうがよいのでしょうか。
【回答】
元来、賃貸住宅の契約をする際には大抵の場合、保証人を立てることを求められ、保証人がいないと契約は困難です。加えて高齢者が入居することを敬遠する民間アパートも少なくありません。
高齢者で所得が潤沢ではないと齢を重ねるにつれ、収入が増える見込みが乏しい上に医療費などの経費が増加する傾向が避けられず、その結果、手元不如意(てもとふにょい)になって家賃が支払えなくなる心配が比較的大きいといえます。単身生活の高齢者ですと孤独死の問題もあります。死亡後の発見が遅れた場合、アパートの価値を大きく毀損します。そのため、どうしても身寄りのない高齢者の入居を認めないケースが多いのです。
それでも保証人がいれば延滞賃料の回収や契約が終了したときの原状回復義務や明け渡し遅延による損害賠償義務の確保が可能です。この保証人がいなければ貸したがらないのも無理はありません。