フィギュアスケートで羽生結弦(23)を金メダルに導いたコーチのブライアン・オーサー氏。彼は羽生のライバルで銅メダルを獲得したハビエル・フェルナンデス(26・スペイン)のコーチも兼任しており、他にも韓国やカナダ、カザフスタンと計5か国の選手指導を一手に担っている。
そのため、点数発表を待つ際、オーサー氏は“お色直し”をする。韓国人選手のときには「チームコリア」と書かれたダウンジャケットを、羽生のときは黒のスーツを、さらにハビエルの番ではスペイン選手団のブルーのジャンパーをという具合に、選手に合わせて着替えるのだ。
そのせいで五輪でのオーサー氏は“てんやわんや”になっていた。ハビエルの得点が羽生を下回った瞬間には、オーサー氏はスペイン選手団のジャケットを着ていたため喜べない。さらに、金メダル獲得が決まった直後の羽生との2ショット撮影では慌ててスペインのジャケットを脱ごうとしたものの、羽生は「脱がなくてもいいよ」とジェスチャー。そのまま写真に収まった(写真)。この様子を各国メディアは「更衣パレード」や「カメレオン」と形容した。
他の競技では考えられない、ライバル間でのコーチの“かけ持ち”。選手にとっては複雑なような気もするが……。
「それでも皆が教えを請いたがるのはカリスマ性が高いからです」
そう説明するのは、元フィギュアスケート選手で解説者の渡部絵美氏だ。