「そだねー」「いいと思うー」──少し訛りのある“作戦会議”が話題になり、銅メダル獲得で多くのファンを沸かせた平昌五輪でのカーリング女子日本代表。
勝負所でスキップ・藤沢五月(26)がストーンを投げる姿が画面にアップで映し出される瞬間、右肩のちょうどよく目立つ位置に入っていたのが「ミズノ」のロゴだった。
「スピードスケートやジャンプを含め、平昌で注目された競技の日本選手がことごとく『ミズノ』のウェアを着ていた。とりわけカーリングは、試合時間が長いから“宣伝効果”は抜群。関係者は笑いが止まらないはず」(広告代理店関係者)
実は、ミズノは平昌五輪におけるJOCの公式スポンサーではない。2015年にアシックスが東京五輪組織委員会と「ゴールドパートナー」として契約し、2016年リオ、2018年平昌、2020年東京の公式スポンサーの座を“独占”したのだ。
「結果、開会式やメダル授与式のウェアは全てアシックス。ゴールドパートナーの契約は150億円以上とされ、経常利益が217億円(2017年12月期)のアシックスに対し、約15億円(2017年3月期)のミズノはとても手が出なかった。そこでミズノは各競技連盟とサポート契約を結び、選手への製品供給などを重視する方針に。結果、今回のカーリング中継のような“宣伝効果”につながった」(同前)
つまり、相当安く宣伝できたということ? そう考えて同社に取材すると「選手の皆様が実力を発揮できるようサポートをさせていただいております。少しでもお手伝いできたならこの上ない喜びです」(鶴岡秀樹・常務執行役員)とやや控え目なコメント。同社関係者はこう明かす。
「冬季五輪のマイナー競技だと、競技人口が少ないから画面にロゴが映っても商品の売り上げに直結はしない。しかも、今回はミズノの縫製技術者がウェアの微調整のためミシン持参で平昌入りするなど万全のサポート態勢を敷いたので、コストもかかっている」
“スチール成功”というほどではなかったようだ。
※週刊ポスト2018年3月9日号