東京では「納税者一揆」のデモ隊が国税庁を確定申告開始日の2月16日に包囲し、「佐川を出せ!」と声を上げた。国民の怒りから逃げ回り、表に姿を現さない佐川宣寿・国税庁長官への憤りが渦巻いているのだ。だが、参加者たちの話を聞くと、怒りの矛先は、佐川氏という1人の官僚だけに向けられているのではない。
「年金が毎年のように減っていくんですよ」
開口一番、そう訴えたのは78歳の女性だ。若い頃に夫に先立たれ、懸命に働いて2人の子供を育てた。いまは1人暮らしだという。
「将来が不安で一生懸命働いて老後の資金を貯めました。でも安泰ではないから、お肉はこま切れしか買わない、それも2割引とか。佐川さん? 税金を取る役所の一番偉い人があんなことでいいのかとは思いますが、怒っても税金が安くなるわけではありません。私たちくらいの年齢では自分の生活を考えるだけで精一杯なんです。だから、せめて年金が減るのは何とかしてほしい」
自営業の66歳男性は「消費税」に怒りをぶつけた。
「建築関係の仕事を始めて来年で30年になります。消費税が導入されたとき、個人事業主は売り上げが6000万円以下なら消費税を払わなくて良かった。それが3000万円に引き下げられ、いまは1000万円以上の売り上げがあれば8%取られる。売り上げ1000万円、粗利200万円なら16万も取られてしまう。これで生活できると思いますか?」
※週刊ポスト2018年3月9日号