開幕前から北朝鮮の存在感が過剰なほどクローズアップされ、“平壌五輪”と揶揄されていた。なかでも訪韓していた北朝鮮女性たちの一挙手一投足は、韓国メディアによって執拗に伝えられ、“民族的五輪”を盛り上げる燃料になっていた。
この期間、もっとも盛大にメディアを賑わせた北朝鮮女性と言えば、金正恩氏の妹・金与正氏(30)だろう。“北の女性首領”の行動を報じるため、五輪そっちのけになる韓国メディアすらあったほど。
そんなメディアの視線を意識してか、与正氏は自国のイメージチェンジのために大胆な一手を投じた。自らの妊娠をカミングアウトしたのだ。
韓国紙「世界日報」によると、与正氏は9~11日の韓国訪問期間中、韓国側関係者に第二子を妊娠している事実を明らかにしたという。北朝鮮問題に詳しいジャーナリスト・高英起氏はその狙いをこう話す。
「身重のプリンセスが五輪のために韓国を訪れたという印象が広がれば、融和ムードはさらに強固になる。そう踏んで、感情に訴えようとしているのでしょう。北朝鮮はもともと、感情的な外交手段を戦略的かつ平気で打ってくる。金与正が自ら打ち明けたという話なので、ほぼ間違いない」
美女応援団も異様な注目を浴びていた。カメラを持って追い回す“おじさんおっかけファン”が登場したほどで、完全に国民的アイドル扱い。「亡命すれば、K-POPアイドル並みに需要があるのではないか」(韓国紙記者)と囁かれているという。
「基本的に彼女たちは良家の出身で既得権益層。亡命するメリットはない。ただし、彼女たちを韓国がK-POPアイドルのように持ち上げたことで、北朝鮮にとって利用価値が高まっている。今後、美女軍団が表舞台に出る機会が増えるのではないか」(外務省関係者)
鼻の下を伸ばしていては、思うツボということか。
※週刊ポスト2018年3月9日号