平昌五輪・女子フィギュアスケートで金メダルを獲得し、世界に衝撃を与えたのが、ロシアのアリーナ・ザギトワ(15)。リンク上の華麗な姿ばかりが取り上げられたが、その陰で「ドーピング検査騒動」に巻き込まれていた。
事が起こったのは2月19日のこと。ザギトワが2日後に迫ったショートプログラムに向けリンクで調整を始めようとした瞬間だった。
「世界反ドーピング機関(WADA)の検査官が突如リンクサイドに現われ、ザギトワへの血液の採取と尿検査を求めたそうです。ところが尿がうまく提出できず、練習時間が限られていたこともあり、ザギトワはスケート靴を履いてリンクに降り、練習を始めた。それに検査官は納得せず、リンクで滑るザギトワに執拗に尿の提出を要求したと言います」(平昌で取材したスポーツ記者)
尿検査をするにはスケート靴を脱いでトイレに行く必要があるため、練習は5分で中断。彼女はリンクから離れていったという。
ロシアはWADAから「国家ぐるみでドーピングをした」とする報告書を提出され、一昨年、選手の五輪締め出し勧告を受けた。ロシア側は国家の関与を否定、結局IOCはロシア選手団としての参加は認めないものの、個人参加は「OAR」(ロシアからの五輪選手)として認めるという決着となっていた。スケートに詳しいジャーナリストの青柳雄介氏はこう話す。
「成績に影響しないよう、ドーピング検査は試合後に行なうのが通常です。WADAはロシア出身の金メダル候補という象徴的な選手の一人を『狙い撃ち』した感があります」
※週刊ポスト2018年3月9日号