マンションを購入した場合、長年にわたって快適なマンションライフを送れるかどうかは、管理組合の“秩序”にかかっているといっても過言ではない。「ウチは仕事が忙しいから…」と人任せにしていたら大変なことになる。住民の中から選ばれた管理組合の理事長がコツコツ貯めた修繕積立費をネコババしていた──なんて話は決して珍しくない。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、マンション管理組合の「闇」に迫る。
* * *
多くの人はマンション購入をマイホーム戦略のゴールだと考えている。しかし、それは間違っている。実のところ、マンション購入と引渡し・入居はマイホーム戦略の第2歩くらいのところにある。そしてゴールはまだまだ先だ。
ゴールが5歩先にあるのか10歩先なのかは分からない。あるいは、そこで一生を終えるなら人生の果てまでも続く。ただ、購入したマンションを売却してしまえば、その時点でひと区切りとなる。
新築でも中古でも分譲マンションを購入することは、管理組合の一員となってその共同体の運営に参加することに他ならない。多くの人は「管理は管理会社の仕事」だと思っている。そのために毎月管理費を払っているのだ。確かにその通り。
しかし、正確に言えば管理会社に管理業務を委託しているのは管理組合だ。そして、管理組合を構成しているのは各住戸の区分所有者である。マンションを購入するということは区分所有者になることであり、自動的に管理組合の一員となることでもある。そして、区分所有者には権利と義務が自動的に発生する。
分譲マンションにおける管理組合の運営というのは、平たく言うと政治と同じである。民主主義社会において市民には参政権があり、納税の義務がある。同様に、区分所有者には組合での議決権があるとともに管理費や修繕積立金を負担する義務を負う。カタチは同じだ。単位が少し小さくなるだけのことである。
民主主義社会において、一般市民は政治家や役人が税金の使い方に関心を持たねばならない。でないと、政治家や役人たちは集められた税金を好き勝手に使い始める。同様に、管理組合においてもひとり一人の区分所有者が管理費や修繕積立金がどのように使われているかということに、注意を払うべきだろう。
管理組合は何人かの理事と理事長によって主導される。理事は議員で理事長は市町村長だと考えればいい。ただ、理事長は理事の互選で選任される。理事は持ち回りの場合もあれば、立候補を尊重しているケースもある。そういったことは、大まかには区分所有法という法律で決められているが、細かなことは各組合が定める管理規約に従うことになっている。
政治に腐敗がつきもののように、管理組合の運営にも様々な問題が生じている。その根っこにあるのは、それぞれに付きまとう利権だ。