ドロ沼の理事選後も角界を二分する暗闘が続いている。春場所直前の相撲協会の定例理事会では、貴乃花親方への追加処分があるとも囁かれ、3月11日に初日を迎える春場所の土俵も荒れに荒れそうだ。暴行事件の被害者である貴乃花部屋所属・貴ノ岩は、3場所ぶりに十両として復帰する見通しだ。執行部派の親方衆は、とにかく貴乃花部屋の関取を潰せと弟子たちを煽っているという。
待ち受けるのは、暴行事件後に貴乃花親方を激しく批判した横綱・白鵬の内弟子である炎鵬(えんほう)。今場所から新十両に昇進した。
「前相撲から史上最速の6場所で十両昇進を果たした炎鵬は、関取最軽量の94kgながら、ひねり技を武器とし、白鵬は“ひねり王子”と命名した。2月に都内のホテルで200人を集めて十両昇進パーティを開催。普通は1場所で幕下に落ちるとみっともないからやらないが、白鵬も炎鵬も自信満々なのでしょう」(若手親方の一人)
他にも協会ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)が期待をかける23歳の新鋭・矢後(やご)、日馬富士が所属した伊勢ヶ濱部屋の照強(てるつよし)が再十両入り。
「照強は168cm、115kgの小兵だが、日馬富士に鍛えられたスピード相撲が持ち味。貴ノ岩戦は“師匠”を引退に追い込んだ相手との一番だから、必死で倒しにいくはずだ」(同前)
“モンゴル十両勢”も実力派がひしめく。元学生横綱で鳥取城北高出身の水戸龍(錦戸部屋)や大翔鵬(追手風部屋)、旭秀鵬(友綱部屋)、青狼(錣山部屋)に加え、暴行事件に居合わせた元大関・照ノ富士も対戦があり得る。同郷の貴ノ岩にとってはいずれも手強い相手だ。
親方は理事から外れ、部屋の関取も潰される──「荒れる春場所」の後に待っているのは、協会執行部の高笑いなのか。
※週刊ポスト2018年3月9日号